#6 温度計の取り外し
現場でよく見かける現場型(バイメタル)温度計。保守点検のために定期的に取り外したり、取り外したりすることがよくあるので、今回は温度計の取り外しについて解説していく。
目次
保護管がフランジタイプの場合
保護管がねじ込みタイプの場合
保護管が無い場合
1.温度計の種類を確認する
保護管がフランジタイプの場合
図のように、保護管部分がフランジタイプの場合特に注意すべき点は絶対にフランジを開けないこと。現場型温度計の多くは元バルブがない為、フランジを緩めた瞬間に内部流体が漏れ出す。内部流体にもよるが基本的に一度緩めたフランジのガスケットはフランジの表面に合わせてつぶれることで、その隙間を埋めて内部流体の漏れを止めている。これを緩めるとガスケットがずれたりすることで、再度ナットを締め込んでも漏れが止まらなくなることがあるので十分注意すること。また、高温配管の温度計を取り外す際は温度計自体や周囲の配管、などが非常に熱くなっている。適正な保護具を使用して、注意しながら、取り外し作業を行うこと。
保護管がねじ込みタイプの場合
図のように、保護管部分がねじ込みの場合はねじ込み①、②を開ける際は必ず工具でねじ込みの保護管が緩まないように押さえて、他のネジを緩めること。そうしないと、保護管が緩んで内部流体が漏れ出す。ねじ込みタイプでねじ込み部がテーパーの場合、一度緩めてしまうとシールテープでのシールが極端に損なわれ、系を孤立して保護管を外し、シールテープを巻きなおす必要があるため十分注意すること。こちらも同様に、高温配管の温度計を取り外す際は温度計自体や周囲の配管、などが非常に熱くなっている。適正な保護具を使用して、注意しながら、取り外し作業を行うこと。
保護管が無い場合
通常運転中は基本的に取り外しを実施しない。当然だが温度計には保護管がついていないことがほとんどなので、配管内に流体や圧力が残存する状態でも決して取り外しを行わないこと。取り外してしまうと内部流体が吹き出し、流体が可燃性や高温の場合は開催や人身事故といった重大な災害につながるので、決して行わないこと。ごくまれにポリマー装置等で、機器熱い状態(熱間工事)で作業する場合があるが、専用のマニュアルを準備したり十分な安全対策を実施したうえで取り外し操作を行うこと。操作前に必ず図面を確認し、保護管があるか無いかよく確認してから温度計の取り外しを行うこと。
2. ①部のネジを緩める
まず、適正工具であるスパナやモンキーレンチを必ず2個準備する。②部が緩まないように工具でしっかりと押さえて、①部をゆっくりと緩めていく。ここを緩めることで温度計がフリーになり、②部のネジを緩めたとき、ネジを緩めるのと同時に温度計がくるくる回らないようになる。
ここで油断しないでほしいのが、保護管があるからと言って100%安全とは言い切れないこと。過去の事例もあるが、保護管付きの温度計を取り外そうとした際に保護管が腐食性流体によって開口しており、内部流体が漏れ出したという事例だ。保護管がついているからと安心せず、保護メガネやフェイスシールド等の保護具を必ず着用して温度計の取り外し操作を実施すること。油断は大敵だ。
3. ②部のネジを緩める
まず、適正工具であるスパナやモンキーレンチを必ず2個準備する。保護管がフランジタイプの場合はそのまま②部を緩めることができる。しかし、保護管がねじ込みタイプの場合は①部を緩めたときと同様に、②部の下段に当たる、保護管のねじ込み部分を別の工具でしっかりと固定したうえで、②を緩めること。そうしないと前述したとおり、保護管のねじ込み部が緩み内部流体が流出する可能性がある。また、内部流体が漏れなかったとしても、保護管のねじ込み部が一度緩めてしまうとシールテープでのシールが極端に損なわれ、系を孤立して保護管を外し、シールテープを巻きなおす必要があるため十分注意すること。
4.温度計を取り外す
これまでの操作で、温度計は完全にフリーになっているので、保護管付きの場合は保護管から温度計を取り外す。保護管から温度計を取り外した後、保護管内に水等が入る可能性がある場合は、プラグ等の対候性のあるものでシールする。設置配管が低温の場合は養生テープ等でシールすることも可能だ。こうしないと薄い等が保護管に入った際、配管の熱を受けてフラッシュしたりして非常に危険だ。
保護管が無い場は、少しずつゆっくりと②部分を緩めていく。もし大量の漏れや異変を感じたら即座に作業を中断して上司に報告すること。温度計を取り外した後は必ずプラグ等の対候性のあるものでシールすること。そうしないと異物が系内に混入する可能性や内部流体が外部に漏れだす可能性がある。取り外したからと言って終わりにするのではなく、最後まで気を抜かないこと。前段でも述べたように、保護管が無い場合は必要な安全対策は十分に講じるものの、内部流体が出てこないとも言い切れないので、保護メガネ、保護手袋、フェイスシールド等の保護具を必ず使うこと。